私たち編集部の仕事で、まず気をつけているのが、「分かりやすい」ということです。
読者にとって分かりにくい本や雑誌では、つくる意味がありません。
読者が求めるテーマ、内容であることはもちろんですが、それが読者に読まれ、理解されてこそです。そうでなければ、紙の無駄遣いになってしまいますから。
マニュアルか保険の説明書のような「書いてあるんだから、全部読めば分かる」では、分かりやすさの対極の姿勢になってしまいます。
文字原稿内容はもちろん、見出し、全体構成、写真かイラストでの説明、的確な図表。
そして、レイアウト、装丁デザイン。
それらすべてについて、「読者に分かりやすいか」をチェックしながら、毎日仕事を進めています。
ところが、「分かりやすさ」に気を配るという姿勢が、実はなかなか身に付かないものなのです。
大学出たての職員の場合、とくにこれが難しい。
なぜなら、試しに原稿を書いてもらうと、「いかに自分が賢いか」を懸命に見せようとします。小難しい言葉も入れながら。
そこには、読み手に分かりやすいかどうか、などへの配慮はこれっぽっちもありません。
大学では、それでも通用します。教官が否が応でも学生の書いた論文を読んでくれますから。
でも、商品となる本や雑誌づくりに同じ姿勢で臨んだら、どうでしょう。
「いかに賢く自分を見せようか」。この悪い癖が、なかなか抜けないのです。
読者に読まれ、理解され、それがさらなる読者を増やす。そのためには、どんな本づくりが必要か。
結局は、自分の役割、雑誌・本づくりの最終目的をしっかり見据え、編集に当たる。そんなプロ意識を自分の心の中に、どう育てていくかということになるのでしょう。
一つのきっかけが、「この人、すごい」という心から感動・感銘を受ける体験です。
一流の仕事に出会ったとき、みんなにも知ってほしい。すごさを伝えたい。そんな思いにかられます。
「すごい」人の仕事の前では、「自分を賢く見せる」など、いかにつまらないことか。
そんな体験をできるかどうか。一流の仕事に出会えるかどうか。
このようなきっかけから、徐々にプロ意識が芽生えることだってあるのではないか。
自分の体験を振り返りつつ、そう考えています。(白石)
トラックバック
この記事にトラックバックする(FC2ブログユーザー)
★名前:白石 善也
★性別:男性
★全林協歴29年
★現在及び今まで担当してきた出版物(抜粋)
書籍はほとんど全部です。
★印...
« 英語アンケート・・・ l ホーム l スタッフ紹介 重信 »