みなさん、こんにちは。
「アーボリカルチャー」という言葉を聞いたことがありますか?
欧米では一般的な「業」で、管理や保全など、
樹木を対象とした活動の総称とのことです。
日本では、造園業や樹木医などの分野が近いようですが、
その技術や文化には、林業との接点も多いようです。
参考(wikipediaへリンク):
http://en.wikipedia.org/wiki/Arboricultureアーボリカルチャーの技術の特徴は「安全」。
その技術で社寺や屋敷林などの高所伐採(特殊伐採)を行っているのが
長野県にある上伊那森林組合 ArborWorks(特殊伐採事業部)です。
安全が徹底している技術や、
アーボリカルチャーの考え方を全国に普及させたい、
という考えから、12月1~6日にかけて研修会が開催されました。
記者も体験取材しましたので、ほんの一部をお伝えします。

研修会は2部制。
最初の3日間は、ロープを使ったクライミング技術を学びます。
講師の小松さん、吉見さんの手ほどきで、
みなさんもすぐに登れるようになりました。

クライミングシステムの一つ「スプリットテール」。
カラビナはハーネスに繋がっていて、これに全体重を預けます。
ロープや器具類は全て海外製で、
破断強度や耐荷重が数値で明確になっています。
一例では、この写真のクライミングライン(ロープ)は、
Samson社の「Velocity」という商品。
太さは7/16インチ(11mm)で、破断強度は6000ポンド(約2.7t)です。
詳しくは、メーカーのサイトで。
http://www.samsonrope.com研修の後半3日間は「リギング」を学ぶもの。
直訳すれば船の艤装となりますが、ロープを張り渡して、
樹上から伐り降ろす技術のことです。
最終日は講師2人による実演でした。

神社の境内に生える、推定樹齢300年、高さ30mを超えるケヤキです。
この枯れ枝を切除する作業のデモンストレーション。
枝の真下に社殿があるので、間違いは許されません。

記者も登らせていただきました。
あまりの高さに足がすくみます。
眼下の社殿を越えて、奥の広場へ枯れ枝を降ろすことになります。

さらに上では、講師の吉見さんが作業の真っ最中でした。
2つの支点で体を確保して、
宙づり状態で作業ポイントへ移動しています。
曲芸的にも見えますが、「ダブルクロッチ」という
ベーシックな技術に基づいていて安全なのだそうです。

ロープを使って降ろされた枯れ枝です(赤い矢印が切断ポイント)。
枝といっても、かなりの太さ、重さです。
対象物の重さから各所にかかる荷重を計算して、
使用するロープや器具を選択し、システムを設計します。
これらの技術は体系化されていて、全てが安全に基づいています。
今回の研修は「レベル1」の設定とのこと。
今後、より実務的な内容の研修会も予定していて、
海外から第一人者を招いて、研修を行う準備も進めているそうです。
この模様は、月刊「現代林業」2月号の巻頭フォトレポートで
詳しくお伝えしています。ぜひご覧下さいませ。

講師の一人、小松さん。
月刊「林業新知識」2月号から、
小松さんの連載「山でも街でも アーバーワークスの仕事」が始まります。
こちらもお楽しみに!
(仮家)